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小児耳鼻咽喉科
小児耳鼻咽喉科の勤務経歴のある院長が診療します。
生まれてから、だいたい体重が25kg程度になるまでの小児期は、成人と比較すると身体の機能にかなりの違いがあります。勤務医時代は、こうした小児耳鼻咽喉科の分野について専門外来などで多数のお子さまと関わりを持ってきました。
子供は一度、診療で怖い思いを経験すると、次回からの診療をスムーズに行えなくなることがあります。
これまでの経験を活かし、中耳炎から難治性疾患に至るまで、さまざまな小児の耳鼻咽喉科領域に対応いたします。
院内には、先天性難聴などで補聴器装用が必要なお子さまに対しても聴力検査を行う事ができるような設備も導入しております。
乳幼児の難治性反復性中耳炎
赤ちゃんは、生まれてから3カ月程度は母親からもらった免疫力に守られているため、めったに中耳炎にはなりません。しかし、その後母親からの免疫力が弱まると容易に中耳炎に罹患します。
「プールに入ると中耳炎が心配」と思っている方もいますが、鼓膜に穴が開いていない限り、鼓膜の奥にある中耳に菌が入り込むことはないため、中耳炎にはなりません。
実際は、中耳は耳管という気圧を調節する管で鼻とつながっています。
そのため鼻風邪をひくと、菌は鼻から耳管を通って中耳に到達し中耳炎を生じます。
つまり、鼻がきれいになると中耳炎も改善します。
しかし最近では、薬が効かない耐性菌が出現しており、これが厄介です。
菌を退治する薬も使いすぎると、更に薬に抵抗性を持った強い菌が出現する危険があります。
こういった耐性菌は増加傾向にあり、中耳炎も難治性となってしまいます。そのため、薬の使用は、適正な量を見極める必要があります。
また、近年では核家族化も進行しており、両親が共働きで、1歳未満でも保育園に通園するお子さまも増加傾向にあります。
だいたい集団生活の環境に入ると、みんな同じ菌をもらってしまいます。
保育園に通園し始めて、すぐに鼻水が汚くなり中耳炎を繰り返し、耳鼻咽喉科通院を繰り返すというお子さまも少なくありません。
このように難治性で繰り返す中耳炎を起こしやすいのは、1歳から3歳くらいまでが主です。
学童期に入ると、鼻の形も大人の形に近づき中耳炎にはかかりにくくなります。
ご家庭での予防としては、「鼻すすり」をやめさせ、鼻を片方ずつかむ習慣づけが大事です。
鼻すすり、アデノイドと中耳炎
中耳炎の項でも述べましたが、鼻すすりを続けると耳には悪い影響がでます。
鼻をすすることで耳管を通じて中耳腔が陰圧となり、鼓膜が陥凹して振動しにくくなります。
その結果、トンネルや高い山に登った時のように耳が塞がって聞こえづらくなります。この状態を滲出性中耳炎といいます。
薬で改善することもありますが、長びく場合は鼓膜を切開して圧を解除し、鼓膜にチューブを留置するケースもあります。
そうならないように日ごろから鼻をかむ習慣づけが大事です。
また、滲出性中耳炎の原因としてアデノイドが関与していることもあります。
アデノイドとは、鼻の一番奥に位置する咽頭扁桃のことで生まれてから徐々に増大します。
ピークは6~7歳程度で、大きくなると耳管の鼻への出口を塞いでしまい、いわゆる「耳抜き」ができなくなるため滲出性中耳炎になります。
アデノイドが大きくなると鼻呼吸ができなくなるため、常に口で呼吸する状態となります。
また、アデノイドが大きい子は、だいたい口蓋扁桃(いわゆる「へんとうせん」)も大きいことが多く、そうすると鼾(いびき)の原因になり、ひどいと呼吸が一時止まることがあります。
この状態を睡眠時無呼吸症候群と呼びます。
眠りが浅く熟睡できないため、昼間も眠くなったり、成長ホルモンも十分には産生されなくなります。このような場合は手術が必要となるケースもあります。